ジョン・ラーム（スペイン）は身長188センチ、体重100キロと大型プレーヤーだが、まだまだ24歳。純粋な心を持ち喜怒哀楽を出しプレーするのが持ち味。今年はラームにとって忘れられない1年となったはずだ。

　ラームの憧れはタイガー・ウッズ（米）で、ユーチューブで何度も何度もスーパーショット集をみるほどのタイガーマニア。ウッズは戦列を離れていたため本格的にラームがウッズとプレーをするのは今年が初めてだった。

　初出場した9月のライダーカップ最終日、ラームはシングルス戦で憧れのウッズと戦うことに。気合は十分だった。レジェンドを前にひるむことなく24歳は豪快なショットを武器に攻め続け、フランス・パリにかけつけたファンを沸かせた。

　ラームの1アップで迎えた17番、決めれば勝利という大事なバーディパット。「勝つ」という強い思いを込めたパットは見事に決まった。その瞬間、ラームは感情を大爆発させた。今までみせた事のないような喜び方だった。ウッズと握手をした瞬間に涙がこぼれた。

「（憧れが強すぎて）ベストな気持ちではなかったけど、ずっとタイガーと戦いたいと思っていた。初挑戦で勝利したんだ。パットを決めた瞬間、感情が溢れ出てきた。そしてタイガーが来てくれて泣いてしまった。これからあの瞬間を超えるような出来事は起こらないかもしれない」

　嬉しいことは続いた。ライダーカップから数か月後、バハマで行われたウッズ主催大会「ヒーローワールドチャレンジ」。ウッズに、ではないがウッズの、試合でラームは優勝することが出来た。「タイガーの主催する大会で優勝できたのはとても特別。タイガーがたくさん（ヒーローで）勝利してきたのを見て育ってきたから」。

　シーズンとしては1月のPGAツアー「キャリアビルダーチャレンジ」、4月の欧州ツアー「スペインオープン」で優勝、マスターズ4位、全米プロ4位とメジャー制覇も間近。ウッズに近づくためにも来年はメジャータイトルが欲しいところだ。

（写真提供：Getty Images）