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「プロゴルファーとしてというより、アスリートとして応援してもらえる選手になって欲しい」渋野日向子選手コーチ・青木翔さん単独インタビュー<3>

2019年12月30日(月)午後0:00

渋野日向子の魅力!~その強さと笑顔の秘密~
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 2019年、海外メジャー1勝・国内4勝の大躍進を遂げた渋野日向子選手のコーチを務める青木翔さんに、CS放送ゴルフネットワークで放送の番組「渋野日向子の魅力!~その強さと笑顔の秘密~(12月30日よる8時初回放送)」のなかで単独インタビューを敢行、その内容を全3回に渡って連載します。今回は2020年に向けての目標と、渋野選手へ思うことを話していただきました。
 
極端な話、ゴルフをやめても真っ直ぐな人間であってほしい
 

 優勝したアネッサ(資生堂アネッサレディスオープン・7月)の公式記者会見で「コーチに怒られた」って言ったらしくて、終わったあとに記者さんたちが僕のところにバーってきて「何を怒ったんですか?」って言われたんですけど、こっちはキョトンですよね(笑)。

 怒ったというか、注意したというのが正しい表現なんですけど、サロンパス(ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ・5月)に勝ったあと、周りの期待も膨らみますよね。で、ちょっと「賞金女王」って言っちゃったんですよね。あの当時の彼女の中での賞金女王のイメージは、ミスをしないとかそういう凄いレベルの高い人を想像していて、それをやろうとしていたんですよ。

 でも、できるわけないんですよね。それで怒ってるんですよ。キャディとも空気が悪くなっているし。なので、ちょっと来いと。うまく行かないことに対して腹を立ててることはわかるけど、自分が出来ないことをやろうとして腹を立てているのは違うし、それをキャディさんにあたるというか迷惑を掛けるような行為をするって、お前は何をしとんのやと。お前はひとりで戦ってるんじゃないという話をしたんですけど。これ、怒って無くないですか(笑)。

 でも、サロンパスも全英(AIG全英女子オープン・8月)もいきなり勝っちゃったので、どうしていいのかわからないんですよね。彼女にはゴルフ以外のいろんな苦しみはあったと思います。環境に対して、どう自分がやっていくのがわからないというか、岡山では期待されていた子なのである程度は分かっているでしょうけど、いきなりバーっと全国に広がってしまったので。勝とうと思って勝ってないですからね。意識したのは最後の最後でしょうから。「勝つー!」っていって出ていったら「調子に乗るんじゃねぇ」っていいますけど(笑)。

 僕は変えずにやるってことが大事だと思っているんですよね。どうしてみんな変化を欲するのかと思うんですよ。彼女の場合はルーキーですし、ひとつの芯を作らないといけない時期なので、今年のオフも地味〜な練習をすることになると思います。まあ、「帰れま10」系なことはあるでしょうね。やるべきことは決まっているので、苦しいけど楽しい練習メニューを考えないといけないですね。

 強くはなってきたとは思いますけど、本当の強さは来年(2020年)結果を出してからじゃないでしょうか。僕もそうですけど、来年どうなってるかなんてわからないですし、そういう怖さもあります。そのなかで、やるべきことをやって、来年結果を出せたときに初めて「強くなった」と、彼女にかける言葉になるでしょうね。今シーズン終わったときに「頑張ったね」とは言いましたけど、「強くなったね」とは言ってないですし、まだ言っちゃいけない言葉だと思っています。

 技術的なところでいうと、たくさんやらなくちゃいけないことはあるんですけど、不必要にすべての技術を取り込むことはないですし、順をおって話し合いながらタイミングをみて、彼女から要求があったときでもいいと思いますし。これからは、人としてというか、大人として学んでいってほしいなというところかなと思います。

 手を付けたいのはアプローチですね。技術が足りないのはシーズン前からわかってましたし、本人からも「アプローチアプローチ」って言われてますけど、僕からしたら「わかってるから」という感じで。足りない状態をわかっててその状態で試合に出してるので、しょうがないかなと。それをやっていくのは時間がかかることだし、あせらずに長い中で積み重ねるつもりなので。ピッチエンドランから上げるアプローチまでやって、さらにもうちょっとというのがありますから。

 ショット力はパッティングよりも彼女の武器なので、そこを伸ばせるようにトレーナーとも話あっています。なので、トレーニングでは死んでもらってます(笑)。彼女の場合は、ティーショットからバーディを獲りにいっていますから。それが一番凄いところで、もっとできるようなショット力を身に着けてほしいですし、彼女も必要としていると思います。

 来年は、五輪出場は絶対だと思っています。出場が決まるまで、それ以外なにもいらないと思っています。そしてメダルを獲ること・・・これは出場が決まってからにしましょうか(笑)。

 でも、みなさんに期待していただいていると思うし、彼女も自国開催のオリンピックは出たいでしょうし。僕も含めてチームメンバーがそこに携われていることは幸せなことだなと。チーム一丸となって五輪出場を絶対目標としてやっていきたいと思います。女子世界ランキング(ロレックスランキング)で決まる6月末まで、そこだけど考えます。出場権をいただけている海外メジャーも行くと思います。

 綺麗ごとみたいに聞こえるかもしれないですけど、彼女には子どもたちに憧れられる存在になってほしいと思っています。プロゴルファーとしてというより、アスリートとして応援してもらえる選手になって欲しいし、大変だと思いますけどそのなかで、周りを大切にする人間でいてほしいと思います。

 でも仮に、極端な話ですけど、「全てを捨てないとアスリートとして結果が出ない」いう状態になったとしたら、彼女の場合はそうなってほしくないですね。ゴルフをやめても、人として真っ当なというか、真っ直ぐな人間であってほしいというか、それが彼女の良さですし、彼女に思うことですね。

(写真:Getty Images)

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