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中島啓太はじめ日本勢はオークモントの洗礼を受けて予選敗退、リベンジは4年後の全米オープンで【2021全米アマチュアゴルフ選手権】

2021年8月18日(水)午後0:14

2021 全米アマチュアゴルフ選手権
 世界アマチュアゴルフ最高峰の大会「全米アマチュアゴルフ選手権(8/9~8/15/オークモントCC・ロングビュークラブ/ペンシルベニア州)」。今年は世界アマチュアランク1位(8/9現在)の中島啓太選手をはじめ、過去最多となる8名の日本人選手が出場しましたが、64名のマッチプレーラウンドに進むことはできませんでした。

 ゴルフに運不運はつきものですが、今回はとりわけ日本人選手たちにとってのハードラックがあったようです。米国在住のゴルフアナリスト・アンディ和田さんのリポートです。

 
準備段階から不運に見舞われた日本ナショナルチーム


 アマチュアゴルフ界の最高峰試合「第121回全米アマチュアゴルフ選手権」がアメリカ東部ピッツバーグ郊外で開催されました。今年のマッチプレー開催コースは、過去に全米オープンが9回行われたことのある超名門のオークモントCC(パー70、7254ヤード)。

昨年は新型コロナウィルスで予選会が行われず、出場した312名は主に世界アマチュアゴルフランキング(WAGR)上位者でしたが、今年は北米93会場でハンディキャップ2.4以下のアマチュアゴルファーを対象に予選会が行われ、7811人がエントリー。 本戦に出場した312名で7日間の熱い戦いが繰り広げられました。

 日本勢はなんと過去最多となる8名(!)が参戦。特に日本ナショナルチーム派遣出場の3名は、いずれもWAGRランク10位以内ということで、現地では優勝候補選手として注目されていました。

 中島 啓太(21歳/日体大3年/WAGR1位)
 杉原 大河(21歳/東北福祉大4年/WAGR7位)
 米澤 蓮(22歳/東北福祉大4年/WAGR8位)

 昨年春以降は、新型コロナウィルスの影響で多くの海外派遣試合が中止になったり、渡航が難しいということで遠征断念という状況のなか、ナショナルチームメンバー達は国内のプロの試合で活躍をして世界ランキングポイントを稼ぐことに成功していました。

 3人とも豪州やアジアでの大きな大会の参加経験はあるものの、全米アマは初挑戦。今回はナショナルチームコーチの一員であるクレッグ・ビショップ氏が引率担当し、オーストラリアで指導していた米大学留学の教え子達(ワクチン接種は完了済)を3人のキャディーとして用意し大会に備えていました。

 この全米アマチュアゴルフ選手権は、312人という大人数を2日間のストロークプレーでマッチプレーに進出する64人に絞るというタフな試合形式です。 マッチプレーはトーナメント方式で5日間(決勝は36ホール)となるので、決勝に進む2人は7日間で9ラウンドの長丁場競技となります。

 今回はオークモントの他に、ロングビュークラブ(パー70、6647ヤード)というコースが使用されました。ロングビューはアップダウンがあり「日本のコースに似ている」と日本ナショナルチームメンバーは話していましたが、オークモントに比べて飛距離も短く、スコアが出し易いという設定でした。

 日本ナショナルチームメンバー3人の試合結果を先に報告すると、残念ながらマッチプレーには進出できませんでした。


米澤 蓮
3オーバー CUT (初日午前オークモント77、2日目午後ロングビュー66/64位タイで12名のうち1人通過のプレーオフで敗退)

杉原 大河
4オーバー CUT (初日午後インスタート、オークモント75、2日目ロングビュー69)

中島 啓太
11オーバー CUT (初日午後アウトスタート、オークモント80、2日目ロングビュー71)


 指定練習日は各コース1回のみという状況のなか、ナショナルチームメンバーの予定が狂ってしまったのは、難しいオークモントCCでの練習ラウンドが雷の影響で9ホールしかできなかったこと。翌日朝にコースを歩きチェックすることはできたものの、後にこの雷中断が試合結果に影響をもたらすことになってしまいました。

 結果に影響したのはそれだけではありませんでした。2コースのプレー日、時間にも恵まれず、不運な状況を強いられることになりました。大会初日は晴天でしたが、午前中から風が吹き難しいコンディション。特に風の影響受けやすく難度の高いオークモントは、午後になって全米オープンのようなグリーンの硬さと速さで選手を苦しめました。高い位置にあるアウトの9ホールはグリーンが乾きすぎてしまい、約30分ごとにグリーンに散水するという全米ゴルフ協会特例処置が行われたという事実が、コースコンディションの難しさを語っていました。

 初日の平均ストロークはオークモントが76.6、ロングビューが71.6という数字でした。出場した312名中、マッチプレーに進出した64人の内訳は、初日オークモント組が21名、ロングビュー組が43名。もっと詳しく調べてみると、初日オークモント午後プレー組は僅か3人。そしてWAGR1位の中島啓太と一緒にプレーした同2位のピアーソン・クーディー(米国、4オーバー予選落ち)、同3位のルッドビグ・エルベイ(スウェーデン、8オーバー予選落ち)という組が居た初日オークモント午後アウトスタート組のティーブロック39名からは、誰もマッチプレーに残れずという結果。運がなかったというか、とても難しいコンディションでのプレーは不利だと現場で見ていて感じました。

 アメリカでの試合は2019年大学対抗アーノルド・パーマーカップ以来2年ぶりとなった中島は「難しい中でも耐えられてる選手はいますし、耐えられるマネージメント方法があったと思います。自分はそれが準備不足だったというか、耐えられなかったというのは、自分の力不足だったと思います」と大会終了後に語り、「オークモントは間違いなく僕が今までプレーしたコースの中では一番タフなコースでしたし、またそのコースをプレーできたことに感動しています」と説明してくれました。



 最近では2016年にダスティン・ジョンソンが制した全米オープン開催コースとなったオークモントCC。今後は4年後の2025年、そして2034年、2042年、2049年にも全米オープン開催が決まっています。

 過去に松山英樹が2012年にコロラド州チェリーヒルズで開催された全米アマ選手権でマッチプレー進出に2打足らず予選落ちを喫した後、2年後にFEDEXカッププレーオフの「BMW選手権」で上位に食い込み、最終戦のツアー選手権に駒を進めリベンジを果たしたということがありましたが、今回挑戦した日本人選手達には、4年後、またはそれ以降にオークモント開催の全米オープンに戻ってきて活躍して欲しいと願います。

 そのほか、海外在住組日本国籍保持選手の結果は下記の通りです。


 山脇 健斗 (20歳、カリフォルニア州在住)+4(76-68)
 森山 友貴(20歳、オレゴン大2年) +6(76-70)
 今井 ジェームス亮誠 (20歳、ノースウエスタン大2年) +6(73-73)
 岡田 圭太(19歳、ハワイパシフィック大2年) +9(77-72)
 村田 幸太郎(21歳、サンノゼ大2年) +14(79-75)


 他にもう一人、お母さんが沖縄出身の日本人というケリー・チン(18歳、デューク大1年、米国籍)は現在WAGR43位。昨年大会はマッチプレーにも進出していましたが、今年の大会は+4とマッチプレー進出のプレーオフに一打足らず敗退。ケリー君のミドルネームは「輝(かがや)」。日本語もしっかり勉強しています。

 海外在住組の山脇、森山、チンは2年前の全米ジュニアで上位に食い込み、今年は全米アマ出場。確実にレベルアップしているので来年以降も大きな大会で名前を見ることは間違いないでしょう。

 最後になってしまいましたが、マッチプレーで6連勝して優勝したのはジェームス・パイオット(22歳、ミシガン州立大5年生、ミシガン出身)。 WAGRランク86位、これまでそんなに目立った成績は残していなかったものの、ミスの少ないショット力とグリーン周りのタッチが冴え、栄冠を勝ち取りました。

 パイオットと決勝で敗れたオースティン・グリーサー(20歳、ノースカロライナ大3年、オハイオ州出身)の共通点は、2人とも2週間前のウエスタンアマで上位の成績を残していて、今大会の開催コースに近い中西部出身でベント芝に慣れていたということも影響していたように感じます。2年前のパインハースト大会で準決勝に残った4人はいずれも南部出身でバミューダ芝に慣れていると当時話していました。

 来年開催はアメリカ東部のリッジウッドCC。過去には欧米対抗のライダーカップやFEDEXカップのプレーオフ競技が4回開催されたコースです。ハンディキャップ2.4以下のアマチュアゴルファーであれば挑戦することができるので、来年は更に多くの日本人選手が挑戦して、ノックアウト方式でのマッチプレーで戦う姿をレポートしたいと今から期待しています。


文・写真:アンディ和田(在米ゴルフアナリスト)



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